僕はロンです、よろしく。

新しい家族のもと僕はやって来た。
なぜここにきたのか、これから知ることになる。

弟から兄貴に。

もう一人僕には兄弟がいる。13歳の岳だ。岳は僕がこの家に来たときから似てると言われてきた。ぼくのほうが目は大きいし毛並みもいいし、確実にイケメンなのに心外だ。そりゃ僕は生まれて数ヵ月な訳でトロいかもしれないが岳は13年も生きているのにトロいし、ちょっと幼稚なやつだ。いつもママに叱られて、僕はその大声で小屋に逃げる。毎日同じことを言われているのに、なぜか叱られている。もう少しで犬の宿命で岳の年齢を超えてしまい、弟から兄貴になるはず。結構僕もこの年でトイレもちゃんとできるし、おすわりもお手もできるからやつより賢い気がする。あともう少しで兄貴になる僕もやつに教えることがありそうだ。岳、オス同士仲良くしていこう。

正式じゃない種類。

今までガラス越しにじろじろ見られる生活から一転して僕はチヤホヤされた。

眠いのに代わる代わるだっこされていい迷惑だ。

当分りーという女の子が大学に行くまで付きっきりで世話してくれる。りーは18で女子だ。見かけはどうかな、いつもママがブス!と言っているからブスなんだろうな。結構いいやつだけど結構てきとーな男みたいな子らしい。大学は福祉の学校らしいが、ママは自分の進む道が決まらなくて、ママが勧めた進路になったってりーをいじっている。まぁそれでもいいじゃないかギリギリ子どもなんだ。ゆっくりいろんな場面に興味津々になって決めりゃいい。進む道決まってたら私はこんな人生じゃないわ!と心では思っているようだ。

毎日僕はりーと一緒にいた。コジマの同室のマルチーズ以来ずっと一緒にいる相手だ。

僕も子犬だからよくねるがりーもよく寝る。寒いから僕はりーと食べ物の夢を見てよだれをたらして寄り添い寝ていた。僕はマルプー、りーはグータラというどちらも正式ではない種類の生き物なんだな。



僕がロンになった日。

僕がロンと名つけられたのは、数日たってのことだった。
沢山の女の子が居た中で、あーだこーだ候補が上がっていた。
ラブ、メル、女の子らしいネーミング。でもしっくりこないらしい。
男はなんとか太郎だとか、和風な名前をだしてきては。女たちに
却下されていた。
そしてマカロンか?えー長いなあ、じゃあロンは?
一同いいねえ~♪
へ?結局平凡な名前。まあ、あんまり今どきのキラキラネームより
いっか。他の犬たちに恥ずかしい名前じゃないしな。
僕はロンになった。僕はロン、悪くない。